至　誠　　玉春日良二

ある日、春日館にカラダの線は細いが、若竹のようにカラダがしなり、足腰にバネのある少年が入門してきた。非凡な才能を持った少年であることは相撲を知っている人間なら誰でも分かった。しかし、少年は「相撲は早く辞めたい」と言っていた。「相撲は嫌い。」と明言する。 だが、少年は稽古が始まると他の誰よりも長く土俵に上がり続ける。少々のことではへこたれない雑草のような根性の持ち主。そして、誰よりも性格は素直であった 少年は、高校、大学と実力をつけて、プロに入ることになった。。素質的に幕内（前頭下位程度）には入るだろうと思った。幕下付け出しでデビューするが、４勝３敗、４勝３敗と何とか勝ち越し。彼にとってプロの壁は厚いのかと思ったが、着実に番付を上げて十両、幕内、そして関脇にまでなった。 あれから１０年が経とうとしているが、いまだに関取として土俵に上がり続けている。ふくらはぎ肉離れ、蜂窩織炎、膝半月板損傷、頸椎障害（首）、肘、足首、腰、満身創痍である。 しかし、彼は、栄枯盛衰、移り変わりが激しい角界で歯をくいしばり、１０年間ずっと関取として土俵に上がり続けている。もう何も言うことはない。大偉業である。 「もう幕内とか、十両というのはあまり気にならない。一生懸命に応援してくれている地元の人たちの声援に一日でも長く応えたい」と彼は言う。今日も彼は、一回り近く年の違う巨漢力士たちに真っ向勝負を挑む。 もう何時、引退しても天国のお父さん（法真さん）、兵頭洋和先生、みんな「良二、ようやった。頑張ったぞ！」と褒めてくれるはずである。後は、自分の気が済むまで闘い抜けばいい。 　がんばれ！マッちゃん。　がんばれ！りょうじ。　がんばれ！玉春日 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　春日館相撲道場　師範　龍山義弘 玉春日のインタビューはココをクリック

力士名（四股名）	玉春日　良二
所属する部屋	片男波部屋
生年月日	昭和４７年１月７日
本　名	松本　良二
身　長	１８３ｃｍ
体　重	１５７ｋｇ
出身地	愛媛県西予市野村町
実家の仕事	農業・父・法真（故人）、母・八重子　の　二男
最終学歴	中央大学 法学部 卒業
星　座	山羊座
血液型	Ｏ　型
最高位	関　脇
生涯戦歴	６０３勝６３６敗３９休（８９場所）
幕内戦歴	４４４勝５３７敗２４休（６７場所）
優勝・三賞・金星	十両優勝１回、殊勲賞１回、敢闘賞２回、技能賞２回、金星７個
愛　称	マッちゃん
趣　味	音楽鑑賞
得意技	左右おっつけ、突き、押し、のど輪

場所数	場　所	番　付	勝　敗	三　賞	金　星	備　考
１	平成８年 一月場所（東京）	東前頭１６	○１０勝　５敗	敢闘賞		新入幕
２	平成８年 三月場所（大阪）	西前頭５	●　７勝　８敗
３	平成８年 五月場所（東京）	東前頭６	○　９勝　６敗	技能賞
４	平成８年 七月場所（愛知）	東前頭筆頭	●　６勝　９敗
５	平成８年 九月場所（東京）	東前頭３	●　６勝　９敗			場所後、兵頭館長急逝
６	平成８年 十一月場所（福岡）	東前頭５	○　９勝　６敗
７	平成９年 一月場所（東京）	東前頭２	●　５勝１０敗
８	平成９年 三月場所（大阪）	東前頭６	○１０勝　５敗	敢闘賞
９	平成９年 五月場所（東京）	東前頭筆頭	○　８勝　７敗	殊勲賞	貴乃花
１０	平成９年 七月場所（愛知）	西関脇	●　７勝　８敗			新三役
１１	平成９年 九月場所（東京）	西小結	●　６勝　９敗
１２	平成９年 十一月場所（福岡）	東前頭筆頭	●　４勝１１敗
１３	平成10年 一月場所（東京）	西前頭６	●　６勝　９敗
１４	平成10年 三月場所（大阪）	西前頭９	○　８勝　７敗
１５	平成10年 五月場所（東京）	西前頭４	●　４勝１１敗
１６	平成10年 七月場所（愛知）	西前頭１０	○　９勝　６敗
１７	平成10年 九月場所（東京）	西前頭３	●　６勝　９敗		曙
１８	平成10年 十一月場所（福岡）	西前頭４	○　８勝　７敗		若乃花
１９	平成11年 一月場所（東京）	西前頭２	●　５勝１０敗		貴乃花
２０	平成11年 三月場所（大阪）	西前頭４	●　７勝　８敗
２１	平成11年 五月場所（東京）	西前頭５	●　７勝　８敗
２２	平成11年 七月場所（愛知）	西前頭６	○　９勝　６敗
２３	平成11年 九月場所（東京）	西前頭筆頭	○　８勝　７敗		若乃花
２４	平成11年 十一月場所（福岡）	東前頭筆頭	●　３勝１２敗		貴乃花
２５	平成12年 一月場所（東京）	東前頭８	○　８勝　７敗
２６	平成12年 三月場所（大阪）	東前頭２	●　５勝１０敗
２７	平成12年 五月場所（東京）	西前頭４	○　９勝　６敗
２８	平成12年 七月場所（愛知）	西小結	●　２勝１３敗			三役復帰
２９	平成12年 九月場所（東京）	東前頭９	●　７勝　８敗
３０	平成12年 十一月場所（福岡）	東前頭１０	○　８勝　７敗
３１	平成13年 一月場所（東京）	西前頭５	●　７勝　８敗
３２	平成13年 三月場所（大阪）	東前頭７	○　９勝　６敗
３３	平成13年 五月場所（東京）	東前頭４	●　６勝　９敗
３４	平成13年 七月場所（愛知）	東前頭７	○　８勝　７敗
３５	平成13年 九月場所（東京）	西前頭３	●　５勝１０敗		武蔵丸
３６	平成13年 十一月場所（福岡）	東前頭７	●　６勝　９敗
３７	平成14年 一月場所（東京）	東前頭９	○　８勝　７敗
３８	平成14年 三月場所（大阪）	西前頭７	○　８勝　７敗
３９	平成14年 五月場所（東京）	西前頭５	○　８勝　７敗			場所後に裕起子さんと結婚
４０	平成14年 七月場所（愛知）	東前頭筆頭	●　６勝７敗２休			左下肢蜂窩織炎
４１	平成14年 九月場所（東京）	東前頭８	○１０勝　５敗
４２	平成14年 十一月場所（福岡）	東前頭３	●　２勝１３敗
４３	平成15年 一月場所（東京）	東前頭１２	●０勝５敗１０休			右膝内側半月板損傷
４４	平成15年 三月場所（大阪）	西十両７	△　休　場			十両陥落
４５	平成15年 五月場所（東京）	西十両７	○１２勝　３敗			☆　十両優勝
４６	平成15年 七月場所（愛知）	東前頭１５	●　７勝　８敗			幕内復帰
４７	平成15年 九月場所（東京）	西十両１	○１０勝　５敗			十両陥落
４８	平成15年 十一月場所（福岡）	東前頭１３	●　６勝　９敗			幕内復帰
４９	平成16年 一月場所（東京）	西前頭１６	●　７勝　８敗
５０	平成16年 三月場所（大阪）	東十両２	○　８勝　７敗			十両陥落
５１	平成16年 五月場所（東京）	東十両１	●　７勝　８敗
５２	平成16年 七月場所（愛知）	西十両１	○１１勝　４敗
５３	平成16年 九月場所（東京）	西前頭１４	○　８勝　７敗			幕内復帰
５４	平成16年 十一月場所（福岡）	東前頭１３	●　７勝　８敗
５５	平成17年 一月場所（東京）	西前頭１４	●　７勝　８敗
５６	平成17年 三月場所（大阪）	東前頭１５	●　７勝　８敗
５７	平成17年 五月場所（東京）	東前頭１６	○　８勝　７敗
５８	平成17年 七月場所（愛知）	東前頭１３	●０勝３敗１２休			頸椎椎間板障害・左Ｃ７放散痛
５９	平成17年 九月場所（東京）	西十両８	○１１勝　４敗			十両陥落
６０	平成17年 十一月場所（福岡）	東十両２	●　５勝１０敗
６１	平成18年 一月場所（東京）	東十両６	○１２勝　３敗
６２	平成18年 三月場所（大阪）	東前頭15	○　９勝　６敗			幕内復帰
６３	平成18年 五月場所（東京）	東前頭10	●　６勝　９敗
６４	平成18年 七月場所（愛知）	西前頭12	○１１勝　４敗	技能賞
６５	平成18年 九月場所（東京）	東前頭４	●　１勝１４敗
６７	平成18年 十一月場所（福岡）	東前頭14	○　９勝　６敗
６８	平成19年一月場所（東京）	東前頭11	○　９勝　６敗
６９	平成19年三月場所（大阪）	西前頭５	●　４勝１１敗
７０	平成19年五月場所（東京）	東前頭12	●　５勝１０敗
７１	平成19年七月場所（愛知）	西前頭15	○　８勝　７敗
７２	平成19年九月場所（東京）	東前頭11	○　８勝　７敗
７３	平成19年十一月場所（福岡）	東前頭９	○　８勝　７敗
７４	平成20年一月場所（東京）	西前頭５	●　４勝１１敗
７５	平成20年三月場所（大阪）	西前頭10	●　５勝　９敗
７６	平成20年五月場所（東京）	西前頭12	○　８勝　７敗
７７	平成20年七月場所（愛知）	西前頭11	●　３勝１２敗			場所後、十両陥落（５回目）
７８	平成20年九月場所（東京）	西十両２	●　６勝　８敗			千秋楽に引退を発表

愛媛新聞　２００３年５月２６日付　１８頁 「十両優勝の玉春日に聞く」 掲載許可番号　d20180820-004